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[コラム] 新入生 前期授業風景 ② 造形基礎演習

奈良女子大学工学部が本年度4月1日に開設され、工学部の第一期生の授業が4月中旬から始まっています。
女性エンジニアの数は全国的に見てもまだまだ少ないのが現状ですが、
本学は女子大学としては全国で初めて工学部を設置し、未来への変革の一歩を踏み出しました。
そんな新設工学部では、「十人十色の女性エンジニアを育てる」学生主体の革新的なカリキュラムが計画されています。

今回は、そんな工学部一年目の授業風景を、教務補佐員の目線から数回にわけて紹介していきたいと思います!
前回は、電子工学の授業を紹介しました。 第二回目は、造形基礎演習です。 授業の前半、5月下旬までの内容を振り返ってご紹介します。

造形基礎演習 I

造形基礎演習は、アイデアやイメージを視覚的にデザインし、平面化、立体化する基礎的な造形技術を学んでいく授業です。また、素材が持つ表現力を知ることで新たな創造へと発想をつなげる方法も模索していきます。素材によって変わる造形表現や加工技術、あるいは空間構成について学ぶことで、感性を表現化する造形体験を身につけていきます。 

担当教員:
グループA – 長田直之、坂下加代子(講師)
グループB – 長谷圭城、倉有希(講師、daichusho Design)

造形基礎演習では、クラスを二つに分け、前期・後期で入れ替え制で学んでいきます。担当する教員がそれぞれのクラスで異なる視点から課題を出し、造形体験の基礎となる技術について幅広く学んでいきます。

グループA

グループAでは、まずは観察・描写・抽象化する(デザイン化する)課題をこなし、その後、文字のレイアウトやタイポグラフィーを扱った課題で平面での構成力を鍛え、ヴィジュアルアートとデザインの基礎となる技術力身につけていきます。

・スケッチと抽象化、平面表現の課題
それぞれの生徒が思い思いの「葉っぱ」を持ち寄り、まずはそれを観察してスケッチしていきました。その後、葉っぱのスケッチを「抽象化、デザイン化」し、着彩まで制作しました。
・文字とタイポグラフィーの課題
次に、自分の名前をタイポグラフィーで表現したり、好きな曲をCDジャケットとして文字のグラフィックで表現する課題に挑戦しました。

これらの課題では、描画力やセンスも必要ですが、まずは身の回りの対象に興味を持ち、”観察”することがなにより大切となります。表現に落とし込む前提で対象を「みる」には、ただ「眺める、見る」だけでは不十分で、細部の観察など分析的な目線と、感受性を活用した「対象から受け取る」観察が必要だからです。

抽象化やデザイン表現的な作業は、自由度が高い反面難しさもあり、学生さんたちも手を動かしながらも質問や相談、対話によって表現を模索してもいました。

教務補佐員

課題でCDジャケット作成を行いました。
文字だけでその曲を表現するとはどういうことだろう?と思っていましたが、文字の書体や大きさ、色、レイアウトなどで上手に表現されていました。

グループB

基礎的なものから応用的なものまで、立体的造形体験をつみかさねていく課題を中心としたグループです。
造形体験と聞くと、自由に楽しく作ること、という印象を受けますが、それだけではなく「自分で考え、オリジナルな形を作る」という工程のなかには、「デザインの基礎について学び、考える」「ユーザー目線(ユーザー・エクスペリエンス)を考える」、「機能性と審美性の両立」「制作時間と完成度の管理」「材質とその最適な加工方法」など、考えるべきことは多岐にわたり、受講生にはチャレンジの多い課題だったのではないでしょうか。

授業内の初めての課題では、それぞれ椅子をデザインしそのモデルをベニヤ板を使用し制作しました。
ベニヤの切り出しには最新のレーザーカッターを使用するため、Adobeソフトウェアを使用して製図する必要がありました。
[ Adobe イラストレーター ] は機能の多い、使いこなすにはなかなか難易度の高いソフトウェアですが、その基礎も学びながらデザインを行いました。

教務補佐員

illustratorの使い方を教わったところから1か月程で椅子の模型を作成しました。みんな飲み込みが早くてすごい!それぞれ違った個性が光る作品が出来上がりました。

奈良女子大学工学部